2013年03月19日
カーブチーを主原料とした香水『UTAKI』原料発掘から香水誕生まで
はじめに
これからご紹介させて戴く香水「UTAKI」は、オキネシアが創業以来取り組んでまいりました県産素材によるモノづくりの、いわば集大成ともいえる作品です。
化粧品開発も海外市場への投入も、オキネシアにとりましては初めての企画であり大きな挑戦でした。この機会に、原料発掘から香水誕生までのプロデュース経緯を、少し詳しく振り返りたいと思います。
カーブチーへのこだわり
近年の県産柑橘は、タンカンやシークワーサーなど安定需要に支えられ量産・拡販を示す銘柄と、カーブチーのように年々減産の一途を辿り流通からはじかれる希少作物と、二極化がすすんでいます。
小社では、古くから県民に親しまれてきた沖縄在来のみかん「カーブチー」の復活を目指し、平成13年度より果実の高付加価値利用の研究に取り組んでまいりました。「量」から「質」への転換により、既存作物の新たな活路を見出せると考えたからです。
「カーブチー」の特徴は、深く芳醇なシトラスの香りにあります。その特性を最大限活かした高付加価値製品が香水「UTAKI」であり、着想から5年、開発に3年をかけて完成し、今年(2006年)4月より発売を開始いたしました。
高品質な精油抽出のノウハウなど開発で得たものは多々ありますが、中でも香りの本場フランスにて「カーブチー」の新香料登録(世界初)を実現したことは大きな歓びであり収穫でした。
地場産品開発モデル
私たちはこのカーブチー由来の香水を開発するにあたり、原料調達から最終製品完成まで、関わった多くの方々と価値観を共有することを心がけました。沖縄特産品として香水を世界へ流通させることにより、以下①→②→③→④→①の循環をイメージしたのです。
① 香水「UTAKI」のブランド構築により、主要原料カーブチーの認知度・市場価値を押し上げ、
魅力的な換金作物へと転換させることができます。
② 地域特産品として確立された銘柄(カーブチー)への誇りと収益増は、農家の生産意欲を高め
ると共に、後継者や若い世代の就農に寄与します。
③ 後継者の育成や若い農業従事者の増加により、地域農業が活性化され、カーブチーびさらなる
生産拡充・品質向上が期待できます。
④ 原料となるカーブチーの供給体制が整うことで、香水の増産・販路拡大にはずみがつき、世界
市場に向け長期的かつ安定的な「UTAKI」のブランディングが可能となります。
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名前の由来
UTAKIは沖縄の聖地“御嶽(うたき)”に由来します。琉球弧の村々に寄り添うようたたずむ御嶽の数は900余。古来より神聖な場所としてさまざまな祭祀がおこなわれ、島に生きる人々に精神的支えとして尊ばれてきました。いにしえより脈々と受け継がれてきた大切な場所、心のよりどころが御嶽です。
私たちのつくる香水が、御嶽と同じように琉球の心根にふと立ち還るきっかけとなれば・・・そんな希いをこめて“UTAKI”という名前をつけさせていただきました。
開発コンセプト
香水づくりのコンセプトをひとことで言い表すと『沖縄のアイデンティティに触れる香りの創出』となります。
香水づくりにあたって、私たちは次の3つを目標に掲げ製品開発に取り組みました。
① 沖縄(琉球)を代表する珠玉の香水【矜持】
② 時代を超え末永く親しまれる香水【普遍】
③ 沖縄にゆかりある人々の琴線に響く香水【心根】
そしてこの目標を達成するための具体案を次のようにとりまとめ、各々実行に移したのです。
① 誇りの持てる香水をつくるために
世界中のどこへ出しても恥じることのない高品位な香水をつくります。そのために、パリの第
一線で活躍し、世界水準の技量を持つ調香師(Perfumer)と共同開発。主原料のカーブチー
精油をヨーロッパに持参し、高度な伝統技術と厳しい品質管理で名高い本場フランスの香水工
場で製造・充填します。
② 普遍的な香水をつくるために
男女兼用で、流行に左右されず、みずみずしく透明感のある香りの開発を依頼します。また装
飾を排したシンプルかつ品格のある容器を採用し、香りもパッケージも「あきのこない」こと
を意識して仕立てます。
※ボトルは洗練されたイタリア製。キャップとボディへのシルク印刷は、製版技術に秀でたス
ペインでおこないました。
③ 琴線に響く香水をつくるために
カーブチー特有のシトラスの香りがきちんと表現されつつ、100%天然香料の特徴を活かして
「優しさ」と「懐かしさ」を換気させるようなレシピを開発します。またネーミングやロゴマ
ークの作成にあたっては、沖縄のメンタリティと共鳴するブランド名とデザインを心がけま
す。
以上の開発コンセプトのもとで企画は着々と進行し、2006年イメージ通りの香水が完成いたしました。
*オキネシア代表 金城幸隆 著「沖縄を大切に思う心」より抜粋。一部修正を加えています。
掲載元:季刊沖縄(第31号 2006.10.31)
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